ぼくが空間をつくる仕事は、観念をtangibleなもの、つまり、触知できるものに変えることを目的としている。
概念を観念化するのは言葉の役割としてあるが、観念から人が行動を起こすまでにはまだ距離がある。
ぼくが学生の頃にいろいろと教えてくださったお坊さん、加藤義観さんは本を読んで何かを感じたら、その本を書いた人に会いに行ったそうだ。遠目に見るだけでもいい。その人をじっと観察することで、まだ遠くにある観念をグッと芯に近づけて、行動へとつなげていく。
SOTOCHIKU通信で宇出津のことを書いたら、ある方から「今近くに来ているので宇出津へ寄って書かれていることを実際に確かめようと思う」というありがたいメッセージをいただいた。これも観念をtangibleなものにする行為ではないか、と思う。
文章と空間。ぼくらはこの両方を提供していくことで、人々に行動への契機を提供していきたい。