gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

能登半島地震で壊れたモノを未来へ活かすプロジェクト 3 能登半島にSOTOCHIKUを活かす

今、ぼくたちは、能登半島地震で壊れた建物から、ソトチク素材を集めて新しい空間に取り込むことができないか、と活動を始めている。

その先頭に立つ山崎誠は、13年前の東日本大震災で復興ボランティアとして2年間、東京から毎月40棟しかない海辺の小さな集落へ通い続けた経験を持つ。山崎は次のように語る。

「生活を再建するには、まず瓦礫を処分し、新しい住居や店舗、職場など暮らしを支える場を建築しなくてはならない。地震のような災害があった場合、地域全体が被災するため、再建した後は全く別の町や集落になってしなう場合が多いんです。13年前の東北大震災の復興では津波が襲ったある地域は、地域全体を盛り土で10m以上嵩上げし、松林があった美しい海岸は城壁のような堤防が作られ、震災前の面影は全くなくなりました。ぼくが通っていた、リアス式海岸にある小さな集落では復興を諦めるしかなく殆ど住人の姿はなくなりました。」

通常流れる時間は少しずつ地域の風景を変化させていく。その長い時間の連続性の中で切り取られた一瞬には、尊い人間的なものがたくさん含みこまれている。しかし、突然大きな災害が起こることで、その連続性を断絶し、初期化されたように人間的なものが剥奪されてしまう。風景を新しく上書きして、それまで確実にあった歴史や人のストーリーが消えてしまう。

そんな地域から壊れたモノを寄付で集めて、新しい建築に取り込むことは、連続性を未来へ受け継ぎ、継続していくことではないか。そして、それを受け継いだ場所では、想定[外]の構[築]が成立し、新しい発見とともに文化が生み出されていく可能性がないだろうか。