gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

日溜まり

「見上げても何も見えなかった日溜まり」という歌をつくったのは、学生の頃だ。

 

日溜まりは幸せな状態の代名詞のように使われることが多いが、実際に日溜まりにいると太陽に目が眩んで、そばにいる人が見えなくなる。

 

雑踏の中で日溜まりの中にあるとき、ぼくは全ての能力を失ったかのように、ただ道路の隅っこで顔のない人影を避けるだけだ。

 

ぼくが歌いたかったのは、社会からひとり取り残されたような自分を嫌悪する自分だ。そして、他人はそれに気づかない。

 

雑踏を歩くと不安定になる陽向を見ながら、実は陽向は、日溜まりの中の自分の状態と同じように、自分ではどうしようもない状況がずっと続く中で自分を嫌悪しているのではないか、という想像がよぎる。

 

陽向はそんな自分と闘っているのだ。誰もそんな彼に気づかない。

 

けれど、そんな中で彼は確実に前進している。彼の強い生命力を感じている。