スピノザの友人であったホイヘンスが、二つの振り子時計が同期し、共振することを発見し、それをスピノザにも伝えたであろうことを、安富歩氏が述べている。
このことがスピノザの著作「エチカ」に大きな影響を及ぼした、と。
ぼくはスピノザのことを神の存在を証明しようとした人として、デカルトと共にその名を知っていたが、その違いを明確には理解していなかった。
デカルトはそれぞれの要素を分割することで世界の成り立ちを考えたのに対して、スピノザは別々の存在が、共振によって結びついて世界ができていると考えた。
まるで逆方向の視点とも言える。
いかに他人同士で共振していくか?そして、大きな力を起こすか?
ぼくの大学での専攻は振動方程式のコンピュータ解析だった。例えば、地震などの外力に建物が共振すると、とてつもなく大きな揺れが発生して倒壊してしまう。
そのような共振の力は、ポジティブな方向に働けば、まためざましい成果を生むだろう。
さらに、共振は、物質のみならず、精神へ作用する、と考えられているのではないか?
言葉としては、共振もしくは共鳴として、ずっと昔から汎用されている。
今という時代は、デカルトが信じられた時代から、スピノザが信じられる世界への転換期と捉えられるのだろうか?