ギリシャ神話に「テセウスの船」というパラドックスがあるらしい。昨年末、弊社へ入社した新人が教えてくれた話だ。
wikipediaには、次のように説明される。
『テセウスがアテネの若者と共に(クレタ島から)帰還した船には30本の櫂があり、アテネの人々はこれをファレロンのデメトリウス(英語版)[1] の時代にも保存していた。このため、朽ちた木材は徐々に新たな木材に置き換えられていき、論理的な問題から哲学者らにとって恰好の議論の的となった。すなわち、ある者はその船はもはや同じものとは言えないとし、別の者はまだ同じものだと主張したのである。』
ぼくは、全部が入れ替わったら同じものと言えるのか、という議論にはあまり興味がない。
しかし、世の中の全てのものがテセウスの船のように、更新されていくことを望んでいる。そのようなものの方が、新しくつくられたものよりも尊いし、美しい。
その価値観を大事にしたい。
日本では、戦後からテセウスの船のように更新されるものがどんどん失われていった。
そもそも、この国に修理屋さんはもうほとんどいない。