この世をば我が世とぞ思う望月の欠けたることもなしと思えば
子供の頃、この和歌を教えられたとき、権力を独り占めにした男の尊大な歌と教えられた印象があった。
しかし、本来の解釈はどうあれ、ぼくは勝手に、「欠けたることもなしと思えば・・・実はそうじゃなかった」とか、「欠けたることもなしと思えば・・・すぐにボロボロ欠けてきた」とか、「と思えば」で終わるこの歌を、その逆の事実があるかのように受け止めていた。
チューリップの古い歌に「なにもかもうまくいくなんてそんな恋は信じたくない」というのがあった。
まあ、この方がリアルだ。実際に、道長の世も、その後長くは続かない。
もし、この歌が教えられた通りの尊大な歌だったとしたら、この歌を歌った時点で、繁栄の終わりが始まっている、ということかもしれない。