土壁を
納屋の壁から切り取ったとき、
そこから運んだとき、
積み上げたとき、
加工するとき、
触れるたびにどんどん壊れてカタチを失っていくのを感じながら
なにかこんな経験を遠い昔にしたことがあるような気がした
ひょっとしたら、誰もが同じ経験をしているかもしれないし、
ぼくはこの一生で一度もこの経験をしていないのかもしれない
けれど、愛おしさと切なさが否応なく同時に押し寄せてくる
つくり終えて、
なんとか持ちこたえたカタチを離れたところから眺める
久しぶりに安らいだ気持ちになった