極小空間もカタチによって全く性質が違いますが、どんなカタチにも良いところはあります。
一般的には店舗に不利とされるのは間口の狭い奥へ細長い空間だと思いますが、実は私はそんな空間が好みです。
例えば、表通りを歩いているとき、建物と建物の間にできる細い路地に誘い込まれる印象を持ったことはないでしょうか?
これは、細い路地の奥へ視線が向いた瞬間に、奥行き方向のすべてのラインが消失点へ集まっていく一点透視図が描かれるからに他なりません。
ぼくは、猫になったかのように、細い空間を身をよじりながら奥へと引き込まれ、服が何かに触れたとしても、むしろその親密な距離を心地よく感じているように思います。
ぼくにとって、そんな動物的な自然の心理にしたがってデザインできるのが、奥へ細長い極小空間の圧倒的利点です。