2012年。アメリカ。
アメリカが日本降伏を描くとこんな映画になるのか、と思ったが、アメリカではほとんど観る人はいなかったそうだ。日本では、そこそこヒットしたそうだから、アメリカ映画と呼べるのかどうか、微妙かもしれない。
史実については、詳しくないが、歴史は描く者の立場によって変わる。今回は、原作は日本人の書いたものだというから、アメリカ人にとってはあまり愉快なものではなかったのではないか。
東京大空襲後の東京の様子は実際にこの映画のようなものだったろうか。一日で10万人が死んだ爆撃は、他に類を見ないという。唯一残った第一生命ビルにGHQが入り、天皇の戦争責任を調査する。皇居は目の前にある。
第一生命ビルはよくジョギングで通り過ぎるビルだ。現在、生命保険も外資に脅かされている。戦後急速に復活しつつも、今また日本がどんどん弱くなっている現状を見るといろんな意味で象徴的なビルに見えてくる。
マッカーサーとの対面のとき、裕仁天皇は44歳。物静かに「戦争の全責任を負う」と語ったとされる。どんな教育を受けてきたかは想像できないが、この絵に描いたような言動によって、日本は辱めを受けることから逃れることができたのは間違いないだろう。
日本は尊厳を失わなかった。しかし、今、この映画を観ると、現在の日本には尊厳があるのか、ということが気になってくる。日本のトップにいる面々は大丈夫か?