大学の頃、今出川の交差点近くのCDレンタル屋さんでずいぶんたくさんのCDを借りてはカセットテープに録音した。今思い出すと、ぜいたくな時間だった。
ぼくは、ジャケットで借りるCDを決めていたから、いろんな新しい音楽に出会えることができた。
けれど、そのときの数百本のカセットテープは、38歳の頃にほぼ全て捨ててしまって、なんの記録も残っていない。
だから、いちばん聴いていた頃の音楽を記憶を辿って探しても、そのほとんどを見つけることができない。
ただ、ぼくの頭の中で鳴り続けるだけだ。それを聴いていたときの情景や天気や匂いとともに。
それはそれで悪くない。