大学時代、ぼくがアフリカへ行ってきた話をすると、「オレは土が嫌いだ」と言う人がいた。
「土が見えるところには行きたくない」と。
土は不潔だと思っているのか、得体が知れないと思っているのか。
そこまで言うのは、きっと不安の強い人だったんだろう。
コントロールできるものに囲まれたい。人間は誰にもそんな一面があるのはわかる。
彼はいつも安心していたいのだ。
土の中で蠢く虫たち。縦横無尽に伸びた植物の根。
ぼくらには見えないところにある、命の営み。
ぼくは、それをいつも感じていたい。
そんなとき、ぼくの心は安らいでいる。