gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2018.4

東京の不思議

「アースダイバー」を久しぶりに読んだ。 東京の中心部は、洪積層の台地が縄文海進期までは、フィヨルドのように複雑な海岸線をつくり、岬の突端は聖地として扱われていた。海岸線が後退し、谷間に沖積層が現れた後も、かつての岬には寺社仏閣や墓地が建立さ…

映画 ブンミおじさんの森

2010年。タイ。「魂は場所につかないの。人につくものなの。生きている人にね。」死ぬ間際のブンミの、数日前に出てきた死んだ奥さんの幽霊に対する「死んだらどこで君に会えるの?」という問いに答えたものだ。死後の世界は、森のように深い。詩の世界…

大先生の椅子

講道館少年部の練習の始まりは、先生に礼をして、嘉納治五郎大先生の写真に礼をしてから始まる。嘉納治五郎大先生の写真は、一段上がった正面にあって、愛用されていた椅子がその前に飾ってある。今日の先生は、年配の女性の先生だ。威厳があって、きりっと…

崖と砂浜と海と

ドイツのバルト海に面したNienhagenという小さな町の森の写真が、Windows10のロック画面に出てきて興味を持って、その町周辺の風景を探してみた。ぼくたちが求めている空間は、こういうものだ、と写真を見て思う。死が近いと感じるところに、己の生が輝く。…

ひとりぼっちのダンゴムシ

「ダンゴムシがひとりぼっちだったから・・・」 陽向が講道館の入口で見つけたダンゴムシを、受付の人にビニール袋をもらって家に持って帰ってきた。「家で飼っていい?」そのことをすっかり忘れてしまっていて、ベッドに横になってずいぶん経ってから突然思…

時間を守る

時間を大切にすることは、心を大切にすることだ。今という時間が、絶えず自分の命を生み出し続けてくれていること。それを感じて生きることが、時間を大切にする、ということだ。そうすることで、人はやさしくなれる。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:…

陽向と走る

朝6時半に陽向をたたき起こして、一緒に走る。新しい習慣づくりのために、それを始めた。学校へ行く時間には、すっかり目が覚めているように。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← コラボで実験しながらつくるオリジナル素材による店…

着替え

陽向は柔道着を着替えるのに、1時間も更衣室から出てこないらしい。自信がないことへは、積極性が生まれない。それが、そんなふうに表れてくるのが彼の特徴だ。エンジンをかけるのは、外からでは無理だ。内から湧き出てくるように、エンジンを動かすための方…

モモ 絶望と恐怖の極から

モモは、世界の中でたったひとりぼっちになって、とうとう灰色の男たちに囲まれる。そこで、彼女が攻勢に転じるのは、誰の力でもない、極まった状況の中で溢れてきた勇気だ。それは、それぞれの人間の心の中にある。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グ…

映画 明日、君がいない

2006年。ムラーリ・K・タルリ監督。オーストラリア。タルリ監督は、当時19歳だったそうだ。ぼくが19歳のときに、何ができただろう?手法に「エレファント」というお手本があったのは大きいだろうが、それでもすばらしい。 自殺したのはだれか?登場人物…

Canning & Associates

Canning & Associatesのスクールとオフィスを六本木につくらせていただいた。グローバル人材を育成する会社だ。引渡し時にスタッフ全員が来られて、人をとても大事にする会社さまであることが伝わってきた。グリッドフレームのスタッフにも、このプロジェク…

心理

自分の自由に移動ができるようになった陽向は、好奇心のままに動いてしまうのか、なかなか約束した時間を守れない。たくさんの大人にご迷惑をかけてしまっている。「じゃあ、もう続けられないよ」と言うと、「いやだ」と返す。「なんで、そうなるの?」と聞…

失恋

失恋のうたにこの年になっても涙してしまうのは、そこに人間の誠実を見ることができるからだろう。余計なものをそぎ落とした後の、どうしようもなく存在する自分の哀しさに触れることが、どの年になっても必要なのだ。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:…

隙間

ぼくらは空間の中に、自分なりの隙間を見つける。そこからどんどん深く、広く世界を探求していく。入口としての隙間を持つ空間。そんな空間を、人は再度訪れたいと思う。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← コラボで実験しながらつく…

余分

空間の提案の中で、暗に、それは余計だといわれるような部分も多かった。それは、過不足のない状態に、コブのようにくっついている、と。まあ、そういう見方は間違ってはいない。けれど、その余計なものが、現在の調和に揺らぎを与えて、新しい調和に変換す…

逞しさ

子供が一人の時間を得るようになると、親の思う通りには動かなくなる。動かないのか、動けないのか、そこを見極めるのは大切だが、誰だって自分を見れば、その両方だ、ということを知っているだろう。縛りつけず、脱線させず。そのためには、マージンを与え…

ストーカー

1979年。タルコフスキー監督。 弱いもの、やわらかいものは生きる。強いもの、固いものは死ぬ。強くなろうとして、固くなってしまった人間たちが、世界を動かしているのだろうか。 だれもそこへ入らなかった「部屋」は一体なんなのか。 ← 創造性の連鎖で…

eat-in-kitchen

熱心なシェフが我を忘れて料理をつくっている現場に入っていって、彼のつくっているものをつまみ食いできるような店があったら、入りたいなあ。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← コラボで実験しながらつくるオリジナル素材による店…

通う

陽向が柔道に通い始めてから10日が過ぎたが、今日は遅れて、1時間半の練習の内、5分しかやっていない、とのこと。どう計算しても、1時間以上は練習できるはずで、話がおかしいと思っていたら、寄り道などをして、大幅に遅れているようだ。通う、ということに…

また来たくなる店

ラーメンを食べると、舌にその記憶が刻まれて、しばらくするとまた食べたくなる種類の味がある。店の空間も同じで、また訪れたくなる空間というものがある、と確信している。空間には両義性が必要で、ひとつは包み込まれるような親密感、そして、言葉でいえ…

土 その2

大学時代、ぼくがアフリカへ行ってきた話をすると、「オレは土が嫌いだ」と言う人がいた。「土が見えるところには行きたくない」と。土は不潔だと思っているのか、得体が知れないと思っているのか。そこまで言うのは、きっと不安の強い人だったんだろう。 コ…

動じない

動じることなく、やるべきことだけをやる。 何が起こっても、自分のコントロールできないことに、振り回されないように。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← コラボで実験しながらつくるオリジナル素材による店舗デザイン:マテリアル…

食パン

近くにパン屋ができたことで、日曜日に焼きたての食パンを一斤買って、週の前半の朝食を食べる、というスタイルができた。店は、人の生活を変える。毎週、日曜日に買いに行くことが愉しくなっている。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム…

習い事

陽向は月曜から土曜まで週6回、柔道に通い始めた。突然のことだが、陽向はスムーズにそのような時間の周期に移行したように見える。見えていなかった、周囲への対応能力を知ることができて、うれしい。けれど、一方で、彼は親たちの仕事が忙しいから、習い事…

息を吐くこと

息を吐いている間は、体をコントロールできる。吸っているときは、無防備だ。人生の半分は、外を受け入れ、半分は内をコントロールする。すべての生き物は、そんなふうにつくられているのだ。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← コラ…

できないこと

楳図かずおや水木しげるに、「もっと爽やかで清々しい絵を描いて」と注文するようなことを、平気で人は他人に命ずることがある。それは、命ずるその人の鑑識眼の欠如ともいえるが、それ以上に、命ぜられる人のアピールの欠如が問題だ。自分のできないことを…

強くなること

例えば、小2で柔道を習い始めたとき、ぼくは他の人よりも強くなれるなんて思っていなかった。半年間、毎日のように通って、先生の言うとおりにやっていたら、試合をしたら勝つことがほとんどだった。そこには、強くなりたいという思いの強さとは無関係に、…

罪悪感

コンピュータに、「6日間、スキャンされていません。スキャンしますか?」と聞かれる。作業が止まるので、×を押す。その操作の後、よかっただろうか?という疑問が少し残っている。NOということへの罪悪感。こんな小さなことにも感じられて、それが日常の…

ヘッドフォン

今まで音楽の音に対して質を求めたことはなかったけれど、少し良い音が聞きたくなって、ヘッドフォンを選んでみた。実際にすぐそこに音源があるかのようで、音楽が心に染みてくる。目をつぶると、そこに新しい空間がある。バーチャルリアリティのひとつだと…

父が生まれた家の畑から土を取って、セメントを混ぜて土手をつくる実験をする。ふわふわした触り心地のよさが印象的だ。固まった後も、やわらかな感覚は残る。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← コラボで実験しながらつくるオリジナ…