gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

言葉と広がり

柳田国男は、日本の地方に伝わる言葉について丹念に調べて、例えば、桑の実のことをクワイチゴという地域が日本の各地域にわたっていることから、「人が桑の実が苺にちかいことを注意し始めたのが、桑の木の栽培に伴うものであったならば、この方言の分布状態は、日本の養蚕史料ということができる」と述べている。

本に記録されることなく、言葉によってのみ伝承される大事なことがある。

それは小さなことかもしれないが、ぼくらの生活とはつまりそのままでは消えて忘れ去られてしまうことの集積だ。

7年前に亡くなった父のことを思う。その言葉を思い出すことで、気づくことがある。父についての発見があると同時に、その周辺や経緯が見えてくる。

日本中を訪ねて丹念に話を聞く作業を実行した柳田国男の足跡は、一人ひとりのかけがえのなさに近づくことと、社会の隠れた歴史を捉えようとすることが、同義であることを感じさせてくれる。


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