外苑のサークルで14型の小さな自転車を借りて、周っているうちに、陽向は自転車に乗れるようになった。
今日は一周目から、「ぼく、乗れるみたい」と言っていた。何かが違ったんだろう。
陽向は、今年の夏の目標をまた一つクリアしたことになる。
結局、どんなに熱心に教えようとしても、子供は自分のリズムで修得していく。
だから、親からすれば、いつもそれは突然に起こる。
それはまるで発散数列のように、突然現在の領域から外部へ飛び出て、いったんそうなったらもう遥か遠くへ行ってしまう。
ひとつひとつ、そうやって人は成長していく。