南イタリア産のソファを扱う家具屋さんから、看板の依頼を受けた。
日本で扱われるイタリア家具といえば、北イタリアの都会的で洗練されたイメージが強かったそうだが、南イタリア産の家具は、粗野で温かみある空気を醸し出すものらしい。
ヴァナキュラー(土地特有)な空気を醸し出すものに価値を感じる人は、年々増えているように思われる。
だが、ヴァナキュラーを一括りにしてイメージ化するという愚を犯してはならないだろう。
その土地の過去と現在が、未来へどのようにつながっているのか。
「永遠に来年が今年のようにある」ような、いわば植物的な場所がある、という幻想からいつも自由でありたい。
そのような姿勢でヴァナキュラーに向かい合うことが求められているだろう。
南イタリアのオリーブとレモンとトマトに覆われているという大地の向こうに何を見出せるだろうか?