2000年。イ・チャンドン監督。
1999年、主人公は列車の前に立ちはだかり、自殺する。20年の時が、純粋だった若者をどのように変えていったか、を数年ずつ遡りながら辿っていく。
遡行する、とは、原因を求めることだ。結果のみを見せられて戸惑う観客は、なぜ、という疑問を抱えて原因を探し求める。
だが、原因は見つかるだろうか。少なくとも、人が変わっていく原因を120分ほどの映画の中に見つけることなど、できるはずがないだろう。
ぼくらは、ただそのとき、そのときの彼の変わり様を悲しい目で確認するだけだ。
あとは想像するしかない。映画は想像するために在るものだから。