自由と平等が同時に成立する社会は、これまでにとても稀にしか存在しなかった、と柄谷行人は書いている。
その稀な例のひとつが、ギリシャ時代以前のイオニア地方にあったイソノミアと呼ばれる政体だそうだ。
なぜそのような理想的な社会が成立したのか。
柄谷は次のように分析する。
イオニアには、自分の代わりに他人を働かせるシステムが成立しなかったからだ、と。
それは、土地を開拓して、誰かを雇って働かせようとしても、その誰かが見つからなかったからだ、という。土地を持たない者は、他人の土地で働くより、別の土地に移動して、自分の土地を得ることを選ぶことができたからだ。
だから、イオニアには大地主がいなかった。
多くの者が自ら職業的技術を身につけ、生産に直接的に関与した。
そして、21世紀の現在、生産に直接的に関与したい、と願う若者が増えている、と感じている。
大地主になるより、独立自営の方がかっこいい、という価値観が広がりつつあると思う。
考え方はさまざまでよいと思うが、ぼくは上記のような価値観を持つ若者をGFを通して徹底して応援していきたいと思う。
(上の写真は、1992年12月に訪れたイオニア地方の都市イズミールのアルテミス神殿。まさに、イオニア式の列柱。)