gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

2014.11

42.195km

初めて、歩きたいと一度も思うことなく、フルマラソンを完走することができた。前半をゆっくり走ったことと、走っている間のエネルギー補給が功を奏したのだろう。ゴールの後も座り込むことなく、普通に歩けたことには、自分でも驚いた。それにしても、42.19…

前夜

マラソン前夜は、8時間寝る計画を立てたが、結局3時間くらいしか寝れなかった。別に緊張するタイプでもないから、理由を考えてみると、疲労を回復させるというサプリメントが効き過ぎたのかもしれない。困りものだが、睡眠不足を全く感じないくらいにサプ…

空間を見るときには必ず、風の通り道を探す。風は動的であることの象徴であり、動的であることはぼくにとって生きることの象徴である。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← 五感に働きかける店舗内装デザイン:マテリアルス← 未来の町…

砂漠の少年

サハラ砂漠の北限は、少年の家の庭まで迫っていた。数年前まではオリーブの木がたくさん生えていたそうだが、そのときにはもう緑は数えるほどしか残っていなかった。近くに流れていた水路は涸れ果てて、彼らの生活は砂漠に押し流されてしまおうとしていた。 …

後半型

マラソンについて、どの本を読んでも、後半型がよい戦法だ、と書いてある。小出義男さんが書いた本には、35km地点でいちばん早く走るように前半を抑えるのがもっともよいタイムにつながる、とある。ぼくはこれまで、いつも前半型でやってきた。それで、35km…

ねじれたファブリック

まっすぐに降りたカーテンのいくつかの点を、さまざまな方向に引っ張ることで、かたちを変化させられたもの。簡単に言えば、そのようなものに興味をそそられている。不定形でも空間の一部になれる、ねじれたファブリック。そこから、自分の興味をつきつめて…

レイヤー

レイヤーの向こうにあるものは、少し見えにくくなった分だけ、現実感を失っている。 例えば、霧の中の人を見るとき、現実の音は消えたように感じられ、そして、輪郭がぼけた人の動きはスローモーションで見るような優雅さを呈するようになる。 レイヤーの向…

闇市

闇市という言葉を聴くと、生命力という言葉が連想される。実際に、どのようなものかは想像の中だけだが、決して嫌いではない響きがそこにある。「戦後のどさくさ」と呼ばれる混沌の中で、法的手続きを経ることなく行われていた商行為は、知恵と力のぶつかり…

賃貸物件

友人は、東京の賃貸物件について、関西と比べて家賃が高いのみならず、更新料が存在することに怒りを隠さない。あと何年間か、家賃が入ることを保証するのが、更新手続きの意味なのに、そのうえ更新料を要求する意味がわからない、と。本当は、更新してくれ…

大地主

自由と平等が同時に成立する社会は、これまでにとても稀にしか存在しなかった、と柄谷行人は書いている。その稀な例のひとつが、ギリシャ時代以前のイオニア地方にあったイソノミアと呼ばれる政体だそうだ。なぜそのような理想的な社会が成立したのか。柄谷…

製造業

例えば、本田宗一郎もそうではないかと思うのだが、創業者が実際に手を動かしている間に経営者も兼ねていると、そのときは大会社にはならない。大きな組織ができるのは、経営に専念する人と、実務に専念する人が分かれた後だと思う。自分がいいと思うものを…

捨てる

「頭の中でずっとつくっていて、出てきたアイディアを温めようとしたらダメ。どんどん捨てる。そうすると、スランプがなくなった。」1年に1000点以上の新しいものをつくり続けている方の言葉だ。循環させること。これが、続けるための唯一の方法だろう…

film noise

1992年12月のイースタンブール。寒い日が続いていたのを思い出す。棚の中にしまっていたフィルムにカビや埃がつく。写真もこうして古くなっていく。そのことにむしろほっとしているぼくがいる。なにか、ノイズによって、内に閉じ込めた世界が外へつな…

容赦ない

スタッフ008、009、010の会話が聞こえてくる。どうやら、010のつくっているものについて、008、009に感想を求めているようだ。009「オレはまったく好みじゃなないね。それの良さを言葉ではいくらでも説明できるけど、オレはいらない。…

七五三

数えで5歳の陽向の七五三のお祝いに近くの乃木神社へ行った。初めて着物を着ることになった陽向は、終始ハイテンションで、ひょうきんなポーズを連発。こちらが望むような、きりっと引き締まった表情の写真は最後まで撮れなかった。扇子を持たせたためか、…

映画 CUT

2011年。アミール・ナデリ監督(イラン)。西島秀俊が借金返済のために、ひたすら殴られ続ける映画。映画の8割は、殴られて腫れ上がった顔を見続ける。商業主義の映画はクソ映画だ、みたいなセリフを拡声器を持って連発する主人公が浮いている。主人公が…

やらされる

「やらされてる、と思ったら、もうダメ。さっと蓋をしちゃうの。」これは何十年も作品をつくり続けている、有名なマルチクリエイターと呼ばれている人から出た言葉だ。創造的であることにこだわる、というレベルではない。創造的でないといられない、という…

放浪

ぼくは学生の頃、よく海外へひとり旅に出た。けれど、本当の意味での放浪はしたことがない。放浪とは、いつ帰るともわからない旅のことをいうのだろうから。帰りのチケットを持っている旅を放浪とは呼ばない。きっと放浪はしたくないのだ。ぼくは、一度始め…

雑音

六本木通り沿いのカフェの屋外席で打ち合わせ。六本木通りを通る車のノイズをバックに、ちょうどよく会話の音量が被さる。庇の下には植物の影が照らし出され、微風にゆらゆらと揺れている。これも空間のノイズとして、ぼくらの世界の内外の境界をあいまいに…

疑問

さまざまな社会問題について、さまざまな意見を知ることができるようになってから、最初に読んだ意見を鵜呑みにする、ということがなくなった。何ごとにおいても、いつも疑問符をつけて、自分の現実と照らし合わせてから、自分の意見を構築していく、という…

圧倒

圧倒される、という経験は、一生のうちに何度あるだろう?ぼくが最近圧倒されたのは、どんなことですか、と訊かれたら、すぐには答えられない。感心することは多い。けれど、圧倒されることは少ない。ぼくがつくるものも、人に感心していただくことはある。…

引いては寄せる波に合わせて、ぼくら3人も引いては寄せる。 ← 創造性の連鎖でつくる店舗デザイン:グリッドフレーム ← 五感に働きかける店舗内装デザイン:マテリアルス← 未来の町並みをつくるファサードデザイン:GFファサード&サイン

「先」という言葉を時間を表すために使うと、とても混乱する。「先日」といえば、過去のことだし、「先に行きます」といえば、順番の手前側になるし、「もっと先の話です」といえば、未来になる。こんな混乱するような言葉が使われていることが単純に不思議…

映画 下妻物語

2004年。深田恭子主演。この映画よりも前に、深夜のラジオで深田恭子の番組を聴くのが当時のスタッフとの間でブームになっていたことがある。いつもそれを聴きながら大笑いした。とても不思議な天然の雰囲気を醸し出していたのが懐かしい。そのキャラク…

爆破

ニューヨーク州バッファローで建築を学んでいたときに、工場の爆破による解体(1995年)を見に行ったときの写真を、http://gfdesign001.com (毎日のブログからの抜粋)のタイトルに使っている。数百メートル離れたところに人が集まって、工場の最期を見…

ミニスキュルの昆虫

子供と映画館で観て、「ああ、フランス的だな」と心の中でつぶやいたミニスキュル。その後、しばらく忘れていたのだが、ぼくの中で何かが引っかかっていたらしい。何かがモヤモヤして、何気ない時間を過ごす中で映像が突然湧いてくるのだ。その正体は、「い…

壊れたピアノ

ポロポロと音を鳴らしながら、鍵盤がつぎつぎと雨のように壊れ落ちていく。連続していた音は途中で抜け落ち、さらに切断され、やがてまばらになり、最後には音自体が失われてゆく・・・。朽ちていくものの美しさを、音に変換するときっとこのようになるのだろう…

近頃は、現実、仮想現実を含めて、いろんな世界の中へ入るために、暗証番号やパスワードが鍵の代わりをするようになった。記憶力が怪しくなってきた頃に時代がそんなふうに変わっていくのは、望ましいことではない。みんなはどうやって管理しているのだろう…

ソクラテス

ソクラテスがこだわったのは、一対一の関係性である。アゴラ(広場)で外国人・女性・奴隷に対して、一人ずつに向かい合って問答し、各人が公人でも私人でもない自己であることの自覚を促した。ソクラテスの問答法は、相手を自己撞着に追い込むが、その結果、…

映画 重力ピエロ

2009年。「見て。あのピエロの顔。あんなに愉しそうに笑ってる。あんなに愉しそうにしている人が落ちるわけないじゃない。落ちたって、きっと怪我なんてしないわ。」空中ブランコのピエロを見上げながら、美しい母が言う。何があっても笑って生きること…