年に一度、夏に行われる日本武道館での全国柔道大会のために、小学生から中学生にかけて何度も福岡から東京へやってきた。
その度に宿泊したのが、九段会館だ。
東日本地震の際に、天井崩落の大事故を起こして以来、どのようになっているかを知らなかったが、先日、ジョギング中に思いがけず前を通って、建物はそのままの状態で残っていることを確認した。
ぼくらが小学生の頃は、スポーツ選手が試合直前にはあまり水を飲んではならない、と信じられていて、九段会館では水を飲むことが禁止された。のどの渇きを今も思い出す。
小中学生のスポーツといって、馬鹿にはできない。本人たちも、親たちも、明治生まれの先生も、みな人生を賭けているかのごとく真剣だった。
その真剣さは、今思い出すと、とても尊いものに思える。
今は使われていないその建物を見ながら、よい子供時代を過ごせた幸運に感謝した。