2010年。荻上直子監督。
アメリカ人3兄弟が、母の死に際して日本からやってきた祖母を「ばーちゃん」と呼ぶのは、日本人が笑えるところだ。
ばーちゃんが、エアギターのプレイを流す深夜TVの画面を真剣な顔で眺めるのは、たぶんアメリカ人が笑えるところだ。
このように、日本でもアメリカでもウケル映画になることを意識していることが伝わってくるのが、この映画の面白さなのかもしれない。
つまり、この映画の特徴は、日本映画でもありアメリカ映画でもある、というところだ。同時に、日本映画でもなければ、アメリカ映画でもない、とも言えよう。
「ばーちゃん」という語感は日本人でなければ分からない。エアギターについては空気感も含めてアメリカ人の方が圧倒的によく知っているだろう。
だから、日本人が見る場合とアメリカ人が見る場合では、これは別々の映画となるのだ。
タイトルの「トイレット」もそういうものの象徴として名付けられている。
この映画を観た後に感じる中途半端感は、まさに本質的に意図されたものである、といってよいだろう。