gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

雑踏の中で

映画「ディア・ドクター」の中で、にせ医者に薬を売っていた薬屋に刑事が尋問する場面がある。刑事はにせ医者が本気で患者を治そうとしていたか、に疑念を抱いている。

突然、薬屋が椅子から後ろ側へ倒れるのを、となりにいた刑事が慌てて手を伸ばして薬屋の体を支える。薬屋は刑事に言う。「刑事さんはオレが嫌いなのに、助けたでしょ」

人間には、その身が滅びようとしている人間が目の前にいたら、それが誰であろうと助けたいと願う性質がある。・・・この映画は、そう主張しているのだろう。


渋谷の雑踏を眺めながら、そんなシーンを不思議な気持ちで思い出している。

こんなに大勢が歩いていながら、知っている顔はひとつもない。

もし、この雑踏の中でパタリと一人が倒れたら、その周囲の人々はその人を抱き起こすだろうか。

きっと、そうなる。ぼくは、そう信じることができる。

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