わが家の北向きのベランダは、4月に買ってきた花をことごとく枯らしてしまったが、最近一つだけが復活して、いくつも花をつけている。フクシアという名前の花だ。英語ではフューシャという。フューシャピンクと呼ばれる色の方がむしろ知られているかもしれない。
小学3年のとき、鳥栖に住んでいた頃、久留米の植木市で家族それぞれが鉢植えを選んだ。私の鉢はフクシアだった。次から次に鈴のような花をつける鉢を選んだことがとても誇らしかった。
40年近くもその花を見かけなかった。そんなにマイナーな花ではないだろうに、なぜだろう。
名前を知らないことが、かつて一度出会ったものとの再会を阻む。
だが、あせることはない。もう一度、会うべきものとは、必ず会わせてくれる。
最近、そんな気がする。