gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

広がりのある風景

中学生の頃、美術の授業の中で「広がりのある風景」という課題で絵を描かされた。

私は、校舎の最上階から見える風景を、見たままに描いた。俯瞰して描くことが「広がりのある風景」と考えたからだ。

Y君は違う考えで描いた。地面に立って、横に広がる田んぼを、今思えば、一点透視図法によって描いた。つまり、見たままを描いたのではなく、Y君は絵をつくったのだ。絵をつくる、という感覚を私はまだ知らなかった。

美術の先生は、私の絵の方を褒めたが、私は合点がいかなかった。Y君の絵の方が構図の上で「広がりのある風景」として成功している、と感じたからだ。

違和感はそれがどんなに些細なことでも、自分の体のどこかに残り続ける。そして、30年も過ぎてから突然よみがえってくる。その答えを今の視点で改めて探してみよう。

(つづく)

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