gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

田んぼを横切る

学生の頃、後輩二人を誘って、最終電車で京都から米原まで行き、そこから100キロの道のりを歩いて帰った経験がある。道をちゃんと調べてこなかったので、歩き始めから、暗闇の中、田んぼを横切ったりしていたら、予想外に水が張ってあって、靴の中がびしょびしょになった。ジャブジャブ音を立てて歩くのが楽しくてハイテンションになった私とは対照的に、後輩二人はため息をついている様子だった。結局、23時間以上かけて、3人でフラフラしながら京都にゴールした。

今日、妻が静かに私に言った。「あなたと生きる、ということは、そのときの後輩になった気持ちなのよ。ついてきてよかったのかなあ、大丈夫かなあ、とか思いながら歩くのよ。たまに大きなため息ついたりして。」

「・・・でも、その後輩たちも、きっと時間が経った後に、100キロ歩いたってことを自慢げに他人に話したりしてると思うの。私も、あとでふっと振り返ったら、自慢げに人に話したくなるようなことをやってるのかもしれないなあ、って思うの。」

そして、こちらの表情を窺いながら、「悪い話じゃないでしょ」

・・・雲の向こうに満月のやわらかな輪郭がきれいだ。

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