西洋人と比べて、日本人には怒りを持続できる人間が少ないらしい。
私はその最たるものだ。怒りは一瞬で消えていく。
私はそのことを幸せに思うと同時に、何か重要なことが欠落しているのではないか、という不安を抱いてきた。
おそらく、その不安はあたっている。生来、私には執拗さが欠けているのだ。
旅の経験はそれを補ってくれたかもしれない。忘れられない、ぞっとするような経験を、私は執拗に忘れられないでいる。
そのような経験がなければ、強い思いは一生持てなかっただろう。
怒りを持続できる人たちに対抗するには、旅が必要ではないか?