gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

004との対話

001:これまで創造性の連鎖をうたってやってきたけれど、これからはこの会社がそれを本当に成し得ているのか、そして、もっとこれから推進されていくのか、ということを知らなきゃいけないと思っています。

そのへんがどれくらい達成されていると考えているかを聞きたいと思います。

004:ある程度、達成されていると思います。創造性の連鎖というコンセプトに共感はしていますが、「なるの空間」というコンセプトの「なる」が分かりません。そのへんをすっきりしたいと思ってます。

001:例えば、さっき、制作は時間が足らないから、存分につくりこむことができない、って言ってたよね。現実は、自分が満足するようなつくりをするために、全部の条件は揃えてくれない。予算の問題やら、機能やら、クライアントや001・002の意見やら、必ずしも自分がつくりたい、と描いているものを実現する格好の条件は揃わない。

それにフラストレーションを感じるとすれば、自分がつくりたいと思っていることが前提となっているからだよね。それを前提にものをつくることが、「する」ということです。自分の意志によって、ものづくりの全てが成立するとすれば、完璧に「する」の結果としてものができあがったということになる。

実際には、「する」ということだけで、ものはできあがらない。例えば、外壁を塗装をしていたら、風が吹いて、木の葉がぺたぺたと付いてしまったとする。困ったなあ、と思って、一枚一枚剥がしてみたら、木の葉のあとがなんともいい具合になっていることに気づいた。じゃあ、塗り直さないで、そのままできあがりにしよう、と。それが分かりやすい「なる」の空間の例です。

004:でも、その通りのことは現実にはめったに起こらないから、つくる作業の中で、何が「なる」ということなのか、混乱してます。

001:うん、わかる。理想的なつくり方をきっちりとイメージして、できる限りその通りにつくっていこうとするのが004というイメージがあるから、つまり、004はできるだけ「する」でつくろうとする人なんだよね。ほとんどの人がそういうやり方でいいものができる、と信じている。でも、その通りにいかないことがたくさん出て来るよね。例えば、初めて使った塗料の付きが悪い、とか・・・。

それは、大体の場合において、ネガティブなんだけど、それをひょっとしたらポジティブじゃないか、という目で見ること。職人さんと呼ばれている人は、大概の場合、そのような視点を持たない。もちろん、そういう目で見て、やっぱりネガティブだったら、それは採用されない。やり直し。でも、ハプニングを、ポジティブかもしれない、という目でニュートラルに見てみること。その視点を持つことが「なる」の空間をつくることができる条件。そして、ポジティブ、と判断して、それを採用したとしたら、それは「なる」の空間を実現したことになる。ハプニングとは、予想外なことが起こること。それを即、ネガティブとしないこと。これは、ある意味で現実を肯定する姿勢だと思う。

大らかであること、とも言える。大らかでなければ、つくる途中でニュートラルな視線は向けられないからね。自分はそんな姿勢でものをつくることがいちばん楽しいし、その姿勢でものづくりに臨める条件を整えた会社をつくりたかった。だから、この会社ではそれをいちばん大切にしたいのね。

自分から見た004は、実際にとっている方法と能力とにギャップがあるような気がしている。現場で何かハプニングが起こったときに、いちばん有効な案をたくさん出せるのが004だと聞いたことがあるのね。実際、自分も現場での004を見ていてそう思いました。

だから、「なる」の空間をつくる能力はすごく高い人間だと思う。その能力を存分に活かしたとき、004のつくる空間はとても価値の高いアート性を持った空間になると思う。自分は「なる」が入った空間だけがアートだと思っているし、そこには採用するかどうか、という、ものすごく高いレベルのつくり手の判断が入るわけだから。

現実を肯定する姿勢。これには、時間が少ないことや、予算が限られていることも含まれていると思う。だから、全ての条件をニュートラルに見るという姿勢が基本になると思います。

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