gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

自分の視点を提示する

"After all, the most important thing is your eye, Toshi."
(結局、大切なのは自分の目だよ、トシ。)

Professor Ted Lawneyが帰国前の自分にかけてくれた言葉だ。テッドはいつも私のプロジェクトを称賛してくれた。「汚しうる美」の論文にも最大限の評価をくれた。だが、「汚しうる美」の例として撮った錆びついた金具の写真を見せたとき、テッドはそれをどうしても美しいとは思えない、と言った。その直後の言葉だ。

私の目を説明することはできない。それは、批評の外だ。好きか、嫌いか、それしかないだろう。

批評的にダメな映画に、息を呑むような美しい夕焼けのシーンがあれば、それは素直に美しいと言うべきだろう。空間も映画に似ている。コンセプトがつまらない空間でも、素直に美しいというべき空間はある。だが、私はそれをよい空間としては認めない。

私はよい空間を求めて考える。しかし、それだけではよい空間はできない。考えること(頭)と感じること(目)の両方が必要だ。

両方を満たすことが空間をつくることであるなら、空間づくりとは、「自分の視点を提示すること」と言うべきだろうか。

人気ブログランキングへ  ありがとうございます