gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

海野次郎さんの展示空間をつくる 2


以下は、八重洲ブックセンター8F展示会場で、6月27日〜7月3日に開催される「海野次郎『水墨思想』東京展」の展示空間制作計画案です。

「巨大な本の森の中をかき分けて進んだ中に、ポッカリと開いた空間」
(これは、海野さんが提示された「結界」というコンセプト)

本屋の売り場を森と感じていただくためには、売り場と展示空間の境界のガラス面に棚をつくり、イメージ図左側のように本をならべます。このような並べ方であれば、私たちで持ち寄っても十分な量を集めることができると思います。

本の森を抜けて、ポッカリと開いた空間には、神聖な場としての「山水」が配置されます。「山水」の展示は、展示会場の左側にに配置され、ゆったりと天井から下げられます。縦140センチ×横280センチの大作は、空間に入って正面の壁の前に飾られます。どの絵も、天井から下げるためには、壁際のピクチャーレールと照明の配線ダクトを併用します。

そして、展示会場を縦にカーブを描いて、鉄柱が連続するのは、木立と見立てています。この木立が、展示空間の中にさらに結界をなすものと考えます。それは、自然を受容する神聖な場から、東京のビル群を高みから見下ろしつつ、会話をするもうひとつの神聖な場への結界といってよいでしょうか。

鉄柱は幾何学的に計算されて並び、傾いているために、それぞれの間はある方向からしか通り抜けられません。3つの間隔毎に、立木仏としての、「裸婦」の作品群が天井から下げられます。

「裸婦」は、遠景としては木立に遮られて、全容を見ることができません。近くに寄って、初めて鑑賞することができる配置になっています。

木立の結界を抜けて、空へつながる窓辺へ出ると、テーブルを囲んで会話をするスペースがあります。窓辺に「花鳥」の作品群が並びます。

それぞれの作品には、スポットライトが当てられて、外からの光によって画面が遮られることのないようにします。(外窓面は概ね北向きにあるので、直射日光が絵に当たる可能性はほとんどないと思われます。周囲のビル外壁に反射した光が入らない限り。)

アイディアは以上です。

すっきりとしていて、会場全体が、和を感じさせるような構成になればよいと考えています。