gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 コヤニスカッティ

フランシス・コッポラ製作。コヤニスカッティとはインディアン、ホピ族のことばで「均衡を失った世界」という意味だそうだ。

アメリカで建築を学んでいるときに、授業で観たのが17年も前のことだが、ずっともう一度観たいと思っていた。

コッポラの「地獄の黙示録」に通ずるような、腹にずっしりと来るものを感じさせてくれる映像である。

私はインディアン社会を魅力的だとは思うが、理想だとは思わない。そこには、均衡のとれた世界があるかもしれないが、均衡が崩れた世界の方により強い魅力を感じるかもしれない。(もちろん、均衡を失いたくはない)おそらく、コッポラもそう考えるだろう。だからこそ、腹にずっしりと来るのだ。

まずは、大地。雲が流れる。水が流れる。そして、文明。車が流れる。製品が流れる。人が流れる。早回しをすると、雲も、水も、車も、製品も、人も、みな同じように流れる。何を考えていようが、何を大切にしようが、このような視点から眺めると、私たちは、ただ流れる物質に過ぎない。

ラストはスペースシャトルの落下事故の映像である。炎上しながら、はらはらと落ちていく機体のかけらをひたすら追うカメラ。その姿を、この上なく美しいと言うことは、罪だろうか?

それは、死というものの性質を、映像と音楽で感じさせてくれる映画である。