1979年、つまり30年以上前の社会問題を描いた映画である。離婚した夫婦が子供の養育権を裁判で争う、という内容は、当時は新鮮だったのだろう。
アカデミー賞を受賞しているくらいの映画だが、社会問題はどうしても古くなることを免れない。おそらく、この作品をなぞるようなテレビ番組などもたくさんつくられたのだろう。全体に亘って既視感があった。
ある意味、現在の夫婦の関係を予言するような映画でもあったのかもしれない。
例えば、次のようなシーンがある。
出ていった妻が、久しぶりに夫に電話をかけてきて、夫は「妻が帰ってくるかもしれない」という期待感を持って、妻に会いに行く。そんな夫に対して妻は、「子供への愛情がいちばん大切なものだと気づいたの」と子供を引き取りたい意志を伝える。
復縁を望む夫は、妻への愛情を保持している。しかし、妻の夫への愛情は、既に全く失われているのだ。
最近のテレビ番組で、グーグル検索で「妻」と引くと、suggestionsで「妻 誕生日 プレゼント」などが出てくるのに対して、「夫」と引くと、「夫 嫌い」と出てくることが話題になっていたらしい。
夫の立場としては、寒々しい限りである。男の愛情は報われることが少ないのだろうか、と思ったりする。
もちろん、一般的な話であり、私の家庭には関係のないことである。・・・だよね?