gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

工場の廃墟はなぜ美しいか

活気のあった工場が、時代に取り残されて人が離れ、荒廃し、やがて廃墟になる

廃墟に立てば、何かを生み出すために毎日繰り返された実直な営みの映像が脳裏をよぎる

そこに目覚ましい創造はなかったとしても、それぞれが決められた役割を果たし続けるための無数の工夫があったに違いない

その映像は美しくないだろうか? 

それは、その場所の「本然」に触れているからだ 

利他的であろうとして産み落とされ、当の他人にそっぽを向かれてしまったモノがひとり残される

ぼくらはむしろ、そんなものに出会ったときに、人間を強く信じることができるのではないか・・・

 

工場の時代が後ろへ遠のいて廃墟化していく中で、用途に満たされていた空間は用途を失い、人目を気にせず、どのようにも使用してもいい空間へと変化を遂げている

廃墟が残されるならば、そこはいつのまにか創造の場所に生まれ変わるだろう