2022-04-18 影を含みこむ ぼくの子供のころの記憶で、印象に強く残っているのは、父方の祖母の家の少し崩れた土壁だ。 漆喰が一部剥がれて、2次元の壁は奥行きのある3次元の壁に代わり、のぞき込めばそこには無限の暗闇が潜んでいるようだった。 それは異世界への入口のようで、のぞき込めば何かが襲ってくるようでもあった。 ぼくの想像を掻き立てるその壁に、本当に久しぶりに再会した。