gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 二十世紀少年読本

1989年。林海象監督。三上博史

 

学生の頃からたぶん5回は観た懐かしい映画。

 

サーカスという生身の体を使った実力勝負の世界で、人知れず稽古に励む身寄りのない兄弟。兄は、稽古中のケガで花形である空中ブランコを諦め、ひとりサーカス小屋を出ていく。

 

今なら大道芸の世界が最も近いだろう。サーカス小屋を見ることはもうほとんどない。生身の体と芸で生計を立てるその生き方にぼくは共感する。

 

しかし、社会的にはとても弱い立場を強いられている。

 

昨今のコロナ騒動の下では、不要不急の烙印を押され、イベントは軒並み中止だ。フリーの立場の人が多いため、生計が立たなくなっている。

 

しかし、元々、誰かの庇護のもとに生きる、ということを拒否する精神が大道芸をめざす原動力になったのだろう。

 

この映画では、主人公である兄は、誰かの庇護のもとに生きることを結果的に拒否し、この世から消える。

 

それは、生身の体と芸の消滅を表す。残されるのは、そんな世界でいいのか???