gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

コの字カウンター

今、提案しようとしているプロジェクトのメインは、よく見るとコの字カウンターになっていた。

 

昭和の匂いのする居酒屋の定番・コの字カウンター。

 

遠い昔、2006年に「LB中洲通信」という粋な雑誌に私の記事を書いていただいたことがあるが、同じ号に「酒場 コの字礼賛」という記事があるのを思い出した。そこにコの字カウンターの魅力について、こう書いてある。

 

「ひとつには開かれていて、誰でも入りやすいこと。それに店全体が見渡せるオープンな空間ということがあるだろう。客同士も互いに「見て、見られる」関係にあり、そこに適度な緊張感が生まれる。だから恥ずかしい飲み方はできないし、他の客をそれとなく気づかう空気がある。中の厨房も見えるから安心だ。プロセスが全部見えるから楽しいのだ。そうした条件が入り混じって、コの字の店には、ある種の劇場的な空気と演劇的な祝祭感が出来上がっているのかもしれない。」

 

「それともうひとつコの字のいいところは、一切のヒエラルキーがないということだ。真っ直ぐなカウンターと違って、常連も一見も対等で、序列がない。実際には、序列がないこともないのだが、一応はそうさせてくれる空間がうれしい。」

 

ぼくらがデザインしているのはカフェなのだが、なんか新鮮だ。