ぼくが実現したいのは、「これは捨てられて、忘れ去られたものですよね」と後ろめたさを感じるようなものを空間の中に持ち込むことだ。
したがって、外に在った土を持ち込めばソトチクということにはならない。
例えば、「北の国から」というドラマがあった。
主人公・淳が故郷を離れるときに、乗せてもらった長距離トラックの運転手が、淳に淳の父親からもらったという封筒を「持っておけ」と手渡す。
中を見ると、何枚かの一万円札の端っこに土が付いている。
父親が土にまみれて仕事をして得た金だということが、即座に分かる。
・・・そんな土。
そんな土でなければ、室内に持ち込んでも何の意味があるだろう?