逃げ込んで、囲われる。
ぼくがイメージするのは、九龍城だが、そういえば、ペルーのリマの酒場で、男たちがぼくから暴力で金を巻き上げようとするのを、酒場のお姉さんたちが守ってくれたのだ、と他の日本人から聞かされたことがある。
ぼくはそんなふうに、誰かに守られていても気づいてもいないで、ギリギリのところで生きてきたのかもしれない。
旅も、呑気だからできたにすぎないが、ぼくが世界を広げるにはそれ以外になかっただろう。
無法地帯へ入り込んだイメージ。でも、入るときは、それを知らない。だから、入り込んでしまう。
生きて帰れれば、そんな経験もわるくない。