なんとなく「取り残されて」というタイトルだけを書いたら、自然に昔、聴いたことのあるうたが胸の中に流れてきた。
さびしさに さびしさに なれて なれて
あなたに あなたに なじむ なじむ
このうたをうたっていた女性の声はだれか?としばらく考えた。
えっ、浅川マキ?ほとんど聴いたことがない。きっと、一回だけ。30年くらい前に、京都の五条か、七条辺りのミニシアターで独り芝居を観たのだ。
思い出したのは、自分でも奇跡的、と思える。そのあとはネット社会の恩恵。
そうそう、「ふしあわせという名の猫」という独り芝居。寺山修司がこのタイトルの詞を書いて浅川マキがうたっている。でも、ぼくが思い出したうたは、その舞台でつぶやくようにうたわれた、浅川マキが書いた「また聞こえて来るワルツ」という曲。たぶん速水陽子という人が演じて、本当につぶやくようにうたった。
そのときに、取り残される、ということを美しい、と感じた。
そんな叙情をぼくは求めているんだろう。