陽向にとって、保育園の最後の運動会。
日頃から、動きが機敏であるとは言いがたい陽向で、先生たちも練習のときはずいぶん苦労して教えてくださったらしい。本当にありがたいことだ。
その経過を知らない親として見ると、運動会の結果は実に平凡なものに感じられたけれど、実は日ごろできなかったことを、次々とやりとげたということだ。
なわとび、とび箱、リレー、どれも、もう一歩といえばもう一歩な結果だったけれど、先生たちの目はうるうるしていた。
そう、陽向はとてもがんばったのだ。
誰よりもとび抜けていたのが一つだけある。それは、「たなかひなたです!とびばこをやります!」とマイクで自己紹介するときの声の大きさだ。
君はずっと、そんな感じで行きなさい。