マクベスは「自分が王になる」という魔女の予言を聞くことによって、「耐えがたいような倦怠」を感じるようになる。「王でないならば彼は何者でもないし、また何をするかしないかもどうでもよくなる」からである。(カッコ内は柄谷行人『マクベス論』より)
http://d.hatena.ne.jp/yogosiurubi/20090626
ある種の人間は、自分の未来について語られることによって、生の輝きを失う。外から語られたものという認識があればよいが、魔女はその人間の心の中にいて、その予言がその人の中でささやかれたとすれば、今という時間の意味は直ちに失われてしまう。
もし今を生きたければ、未来に対して安堵してはならないし、心に浮かんでも絶対に口にしてはならない。
自分の言葉が、予言となって入り込み、自分の身動きをとれなくしてしまうだろう。