gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 冷たい熱帯魚

2010年。園子温監督。

怖そうな映画であることは予告編や評判でよく知っていたから、恐る恐る観た。

この映画の主人公の最後のセリフは「生きることは痛いことなんだ」である。

が、モンスター役のでんでんは、思ったほどハチャメチャではなく、これほど暴力シーンが多い映画でありながら、安心して観続けることができた。つまり、ぼくが映像から痛みを感じることはなかった。

・・・ということは、この映画は、十分成功しているわけではない、ということかもしれない。それとも、最後まで安心して観ることができたこと自体を喜ぶべきなのだろうか。

青山真治の「helpless」、トリアーの「アンチクライスト」、ブリランテ・メンドーサの「キナタイ・マニラ・アンダーグラウンド」などに比べれば、その破壊力はさほどではない。

監督が「ふつうの娯楽映画です」と言っているのは、ある意味でその通りだ。

だが、でんでんと吹越満のどっちがひどい人間か、という問いは強く残る。おどおどしていた吹越が、でんでんのような横暴な人間に変わった瞬間に感じた爽快感はなんだろう?

そして、自殺した吹越を見て笑い転げる娘に対し、ぼくはどのような視線を向ければよいのだろう?

宇宙の時間からすれば、ぼくらの一生の時間なんてゴミみたいなもんだ、ってか?


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