2009年。大森美香監督。
タイ・チェンマイが舞台。背景に音楽がほとんど流れない、静かな映画だ。
その中心にゲストハウスの小さなプールがある。登場人物たちの心の水面を表すように、おだやかにきらきらと輝いている。
どうやら、母親は娘と義母を日本に残して、10数年前にタイへやってきてゲストハウスを営んでいるらしい。そこへ数年ぶりに娘が訪ねてきた。
母親が日本を出るときにどのような事情があったのか、映画は明らかにしないが、そうしたくてしたことと、そうしなければならなかったこととは、あるタイプの人の中ではいつも一致している。
娘「わたしは不良になったかもしれないのよ」
母「(笑)そうならないことが分かってたからここに来たのよ」
人間は強いと信じる母の姿勢に共感をおぼえる。