gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

恐怖

小さい頃、夢におびえたことはほとんどないが、それでも一度だけ出てきた怖いイメージが、今も脳裏に焼き付いている。

それは、夢の中で夜の階段の踊場にふたりで佇んでいた。ぼくはそれが何なのか、はっきりと分かっていた。それは、祖父母の家のガラス棚の中に飾られていた二人で一対の翁姿をした黒い木彫りの人形だった。二人ともなぜか目を細めて笑っている。

それは私の日常とは乖離した世界だった。私はその二人の不気味な笑いを理解する手立てをまったく持っていないにもかかわらず、夢の中で同じ生き物として同じ空間を共有してしまったのだ。恐怖の正体はそれに違いない。

そのときの恐怖の感覚は、今も変わることはない。つまり、5歳の頃から怖いものは変わっていない。

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