例えば、法律は「悪いことはしてはならない」というネガティブの禁止の羅列である。「良いことをしろ」という法律はない。ポジティブは強制できない。
だが、人間を人間たらしめるのは、この強制されることのないポジティブな部分である。
創造性はここに位置する。だから、創造的であることを他人に強制することはできない。強制することができるのは、ただ自分に対してのみである。
そして、一般にポジティブな部分をポジティブと認識するためには、感性を必要とする。つまり、他人にその創造性が理解されるとは限らない。
その創造性を理解されることなく、一生を終える芸術家はたくさんいるだろう。
だが、人間であることにこだわった人生があった、という事実は揺るがない。
それで十分ではないか。