gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 アンチクライスト

2009年。ラース・フォン・トリアー監督。

タイトルからして反キリスト教の映画だが、このような映画をキリスト教徒でもない日本人はどのように観ればよいのだろうか?

難解な映画だが、結論としては、女性の本然に悪魔性(=アンチクライスト)を見い出したといってよいのだろう。

そのような結論が、私たち日本人にとって、目新しいものであるのかどうか、わからない。たぶん、女性が本然的に持っている悪魔性を、ネガティブにもポジティブにも見る視点を私たちは持っているのではないか、と思う。つまり、すべてを両義的に見てしまう。

それは悪魔性(=アンチクライスト)という世界に暮らす人には理解できないだろう。同じように私は、最後に夫が妻に悪魔性を見い出したがために妻を絞殺す、というラストを心では理解できない。


セラピストである夫は、最愛の子供を失ったショックで、精神の病に陥っている妻を救うことを決意する。彼は彼女が「悲嘆」、「苦悩」、「絶望」の順に段階を経ると説明する。妻の状態はどんどん悪くなっていく。それが、彼女が最も怖いと思うものにだんだんと近づいていることの表れだ。最後にそれを排除すれば彼女は救われる。

だが、最後にたどり着いたものは、彼女自身だった。だから、夫は彼女を殺した。それが彼女を救う唯一の道だったのだ。

これが私が頭で理解したことである。

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