gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

映画 ラスト・デイズ

2005年、ガス・ヴァン・サント監督。

ニルヴァーナのボーカル、カート・コバーンの死に着想を得て、急激に富と名声を得たロックバンドのボーカリストが自殺に至るラストの2日を描いた作品。

ぶつぶつと何かを呟きながら、森を彷徨う冒頭のシーンは、まるで野生動物のようである。川へ入り、放尿するシーンが唯一彼の生命を輝かせている。

彼は、純粋を求めて自然へ回帰しようとする。だが、狩りをできない彼は、食うために家へ帰らねばならない。森の中を、最新の高速列車が走る。

「どこで間違えてしまったのか?」

ぐずぐずしているうちに、生きているという感覚はどんどん薄れていく。

はっきりしているのは、誰も彼を救うことができない、ということだ。

観客は、彼の陥った淵の深さを知り、ただ見ているしかない。

そして、闘うことを止めたとき、恍惚の表情とともに彼はこの世を出ていく。

生きるとは、闘い続けることだ。

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