1992年、スウェーデン映画。
身悶えするような絶望的な孤独は、スウェーデン北部の寒村が舞台ではなおさら体の中に沁み入ってくる。
その孤独に抵抗を試みても結局は負けて、信条を貫くこともできず、だからといって、妻は自分を一番に愛してくれるわけでもない。
誰かと闘おうとしても、敵もまた精一杯闘っていることを知り、闘う相手を見失ってしまう。
人は皆、それぞれが一生懸命で、脆い。
風景だけが圧倒的に美しく、なんのために生きるのかを遠くから問うてくる。
言葉で傷つけ合ったとしても、相手の心の美しさを知っている。
どうすれば、今それを伝えることができるだろう?
冒頭で、神学校に通う主人公のもとに祖父が訪ねてくる。祖父母は主人公とその母が貧困にあえぐのを見ぬふりをして放置していたが、祖父は、死に瀕している祖母がそれを悔いているから見舞ってくれないか、と頼む。主人公はそれをはねつけ、自分たちの恨みをあの世へ持っていけ、と言う。
もし、そこで彼が赦すことができたら、どう違ってくるだろう?