asahi.comに１９７４年にフィリピンから帰還した小野田少尉の記事が載っていた。
帰還したとき、終戦後すでに３０年近く経っていた。湿度の高い、虫だらけの南国の山間部で、彼は日本兵として闘い続けた。途中、新聞やラジオで情報を得ながらも、３０年間も終戦を信じなかったのだ。当初３人いた仲間をひとりずつ失い、１９７２年にはとうとう独りになった。
彼は、３０年間、一度も水平の場所で寝たことがないそうだ。戦闘態勢にある、とはそういうことだ、と改めて思い知る。
人間はそのような環境でも３０年も健康体で生きることができるのだ、という事実に驚愕する。人間は、私たちが思っている何百倍も逞しくつくられている。
私は、その能力の何パーセントを使ってきたのだろう。
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