gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

完成度

昨日に続き、千田泰広さんの文章をもとに考察する。

「制作の際には寧ろ無自覚に完成度が高まってしまうことに気をつけたい。完成度が高まる時に失われるものはないか細心の注意を払いたい。」(千田泰広)

実際、完成度が高まることによって、失われるものは多い。そして、その失われたものこそがつくることの意味だった、と感じることが多い。

「常識」と呼ばれる厄介なものがある。常識は、「完成度は高いほどよいものである」と決めて、意見を異にする者を受け入れないことがある。そこに深い思想や洞察はないにもかかわらず。アートそのものは常識と距離を置くことができるが、実用の空間をつくる仕事では、常識とうまく付き合うことが要求される。

だが、そこには深い思想や洞察がないがゆえにまた、覆せる隙もある。

グリッドフレームの「汚しうる美」もそれを覆す対象として照準を合わせた兵器だった。

設立から13年を過ぎて、それを忘れたことがあったかもしれない。「無自覚に完成度が高まってしまう」ことを見過ごすこともあったかもしれない。

もう一度、原点に返る。ビジネスとして広く「本当につくること」が成り立つためには、この点を見直す以外に、今のところ私には方法を見い出せない。

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