gridframe001の日記

とりかえのきかない世界を生きるために

寿司屋

昼飯を食べに、通りがかりの小さな寿司屋へ入った。

いつも帽子を被っている私は、不覚にもそのままカウンターへ座った。そして、大将の握った寿司を口に入れようとした瞬間、大将が話しかけてきた。

「お客さんは、食べるときも帽子をお脱ぎにならないんですかい?」

「・・・はい。どんなときも脱ぐことはありません。」

「ふつう、食べるときは脱ぐもんです。」

真顔でそう言われて、大将が不機嫌であることに気づく。

「それは、失礼しました。」と帽子を脱いだ。

もう無自覚なくらいにあたりまえになった、ぼくの毎日のスタイルは、周囲の常識とは少し違う場合があることに、久しぶりに気づく。

そのスタイルを変えるつもりはないが、誰かの世界に入っていくときには、せめてその人を不快にさせないように配慮したい。


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