美しい衣服を身に纏い、美しい食べ物を食べ、美しい空間に住み、美しく身をこなす。絵に描いたような美しい生活。･･･なんて遠い昔に放棄してしまった。
好きなことに熱中している間に、他のことはどうでもよくなってしまった。というより、そんなことを気にしている時間がないのだ。時間がもったいない。
上記の美しさで思い浮かべるのは「汚せない美」だ。つまり、汚れると価値が下がってしまうような美しさだ。このような美しさに囲まれて暮らす人間自体になりたくない気持ちもある。
しかし、この美しさが「汚しうる美」だったら、どうだろう？汚れても価値の変わらない美を「汚しうる美」という。例えば、裏通りの傷ついた壁の美しさ。こんな美しさに囲まれた生活はすばらしい。妻にこんな話をしたら、「私は衣服だけは汚せない美がよい。」とのこと。確かに。組合せて、コントラストのある生活の方が魅力的な気がする。しっくりくる。
そして、そんな生活は、忙しくても成立する。なぜなら、汚しうる美は、汚しうる。つまり、ローメインテナンスなのだ。
そんなふうに想像してみたら、急に汚しうる美の生活を始めたくなった。生活に美しさを取り戻そう。
数ヵ月後には引越しが控えている。汚しうる美の生活の準備を始めようと思う。
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